新聞記事文庫 逓信事業(1-130)
大阪朝日新聞 1915.8.31(大正4)
大瀬崎無線電信
自 | 大瀬崎 | 距離 (浬) | 通信可能 の時 |
至 | 上 海 | 375 | 昼夜 |
至 | 角 島 | 155 | 同 |
至 | 落 石 | 1、060 | 夜間 |
至 | 香 港 | 1、010 | 同 |
至 | 漢 口 | 740 | 同 |
至 | 銚 子 | 640 | 同 |
至 | 秦皇島 | 630 | 同 |
至 | 富貴角 | 580 | 同 |
至 | 大 連 | 515 | 同 |
至 | ラサ島 | 518 | 同 |
至 | 潮 岬 | 365 | 同 |
至 | 下津井 | 280 | 同 |
長崎県下大瀬崎無線電信局に於ては従来五キロワット一機のみ備え付けありしを去る三月末拡張工事完成の結果七キロ並に二十五キロワットの二機に改められ普通は七キロワットを用い遠距離若くは暴風雨等の場合には特に二十五キロワットを使用する事となれるが拡張後今日迄試験の結果果して如何なる通信能力を示したるかは当局の秘密に附する所にして未だ詳細に知るを得ず且冬季、夏季の温度並に昼夜の別及び電波長により多大の差異ありと云えば容易に確然たる通信距離を窺う能わざるも某技師の談に依れば七キロワットの電力を使用せんか冬季に於て昼間五百浬、夜間千五百浬、夏季に於て昼間四百五十浬、夜間二千浬位を通信可能と見て確実なるべし若し夫れ二十五キロワットの電力を使用するに於ては冬夏両季を通じ昼間にても八百浬乃至千浬位の距離は通信可能なるべく夜間に至っては恐らく数千浬の遠距離に試むるを得べし而して最も通信距離の拡大せらるるは発受両局が高台に在りて両局間陸地を差挟まず其位置南と北に存し而も冬季曇りたる夜間に於て電波長六百米突位を使用する場合なりとす尚拡張工事前即ち五キロワットの電力を使用しつつありし時に於ける大瀬崎局と内外国海岸局との通信状況を示せば左の如し
尚例外とも見るべきは三千五百浬を距つるスマトラ島サバン局と夜間通信可能なりし事にして此他三千百浬を隔つる濠洲ブルーム局と夜間通信を試みたる事ありしも単に多少の感応ありしのみなりと(長崎通信)
データ作成:2003.9 神戸大学附属図書館
出典URL:
大瀬崎無線電信